最近、住宅業界でも「残クレ住宅(残価設定型住宅ローン)」
という言葉を耳にするようになりました。
自動車ローンではすでにお馴染みになってますが、
対象が自動車ではなく、住宅になったローンです。
国土交通省が、この制度を推進して住宅取得の後押しをしていくようですね。
“月々の支払いを抑えてマイホームを持てる”
一見すると、とても魅力的な仕組みに見えますが、
果たして、本当のところはどうなのでしょうか?

まず、残クレ住宅が生まれた背景ですが、
■住宅価格、建築費の高騰
■共働きでもローン負担が重い
■月々返済額を下げないと買えない
また、残クレ住宅は、原則として、
■将来の残価を前提にした仕組み
■長期優良住宅等で、計画通りのメンテナンス実施が必須
■売却益は期待しにくい
■最終的に買い取らなければ資産にならない
■仕組みが複雑になるので、金利は通常の住宅ローンより高め
都市部では、「どうせ住み替える」「一生住まない」という割り切りが成立しますし、
家は「建てる」よりも「買う」という感覚です。
しかし地方では、
■同じ土地に長く住む
■資産として子や孫に引き継ぐ
■リフォームしながら住み続ける
という考え方がまだまだ主流で、
「資産にならない前提の家」をあえて選ぶ合理性が少ない。
また、残クレ住宅は、
■修繕費は自己負担
■固定資産税、火災保険料もかかる
■名義は金融機関や販売会社
■でも最終的に残らない可能性がある
これは言い換えると、「ただ高コストな賃貸住宅」とも言えるのかと…
それなら、そもそも賃貸住宅でいいという判断もありだと思います。
家づくりにおいて、本当に大事なのは、
■冬暖かく、夏涼しい
■光熱費が安い
■メンテナンスしやすい
■家族が安心して暮らせる
つまり、月々の返済がいくらかより、何十年どう暮らせるかが重要です。
残クレ住宅は、「今の支払い」を軽くする仕組みであって、
「将来の暮らし」を豊かにする仕組みではありません。
残クレ住宅それ自体が、悪い商品だとは思っていません。
ただし、都市部向けの仕組みをそのまま地方に当てはめることは、
家づくりや人生全体のライフプランとしては非常に危うい。
なぜなら、地域や家族にとって、価値観や暮らし方、時間軸は様々だからです。
家を建てるということは、
暮らしを積み重ねる器をつくることだと、
私たちは考えています。
いずれにしても、流行りや目先の金額よりも、
将来を見据えて後悔のない選択をしていただきたいと思う
2025年のクリスマスイブです。
皆さま、よきクリスマスをお過ごし下さい。